月刊・教室だより
名物先生によるリレー連載(毎月20日更新)
【連載第221回】
ノーベル賞
2025年10月は激動の月でした。
ノーベル化学賞に京都大学の北川進氏が選ばれました。
授賞理由は金属性有機構造体(metal organic frames)により人類に貢献したということで他二人との共同受賞となります。MOFとは無数の穴が開いた物質で活性炭のようなものです。穴の大きさを自由に設計することができ様々な分野での利用が期待されています。例えば果物の劣化をもたらすエチレンをこの物質に閉じ込めることができます。同様に有毒ガスを閉じ込めて安全に輸送することが可能になるのです。
化学的には炭素は4本の手で他の原子と結合していますが、この手に設計された有機体を結合させることでねらった空間を持つ構造体を作り出します。この構造体の空間には大きすぎる物質は入り込めず小さすぎる物質はすり抜けてしまいます。空間の大きさにぴったりの物質のみ閉じ込めることができるのです。
失敗談苦労話としては『勁草の心』という信念をお持ちです。これは強い心をもって研究にあたるということでChance favors the prepared
mind.という言葉にも通じます。また『無用の用』も座右の銘ということで役に立たなそうなものにも使い道があるということです。
人類への貢献としては20世紀は石炭など固体、20世紀は石油などの液体そして今世紀は気体の世紀といわれています。気体への期待が高まっているのです。将来の目標としては砂漠の空気から水を取り出したり、宇宙で酸素を手軽に再生することなどが挙げられています。
北川さんの懸念としては国レベルでの研究費が減らされていることが挙げられます。このままではノーベル賞を取ることが難しくなりそうです。
冒頭で2025について触れましたがつくづく不思議な数です。まず45かける45は2025です。またおなじみの九九表の1から81までをすべて足すと2025です。2025の魔力のせいでしょうか政治やもろもろが動き始め世の中が面白くなってきました。
藤田先生 |
